相続が発生した場合には、様々な手続きが必要となりますが、遺産の中に土地や建物、マンションなどの不動産がある場合には、相続登記を行っておく必要があります。
土地や建物などの不動産を所有していた方が亡くなると、相続人に所有権が移転されることとなりますが、その名義変更を行う手続きが相続登記です。
この手続きについてはいつまでに行わなくてはいけないという決まりはありません。
では放置しておいても良いのかということとなりますが、そういうわけではなく、そのままではその不動産を売却したり、その不動産を担保として借入をすることはできなくなっています。
さらに、長く放置しておくとさらに相続が発生し、手続きがより複雑になってきます。住民票や戸籍の附票など、保存期間が短い公的な書類が取れなくなったりすると、その代わりに全相続人から相続に関する証明書に実印を押印して提出する必要が出てくるなで、各種の負担が発生するので、できるだけ早めに行っておくのが良いでしょう。
そして相続登記の手続きを行う場合は登録免許税が必要となります。
これはその不動産の固定資産評価額の1,000分の4の金額です。つまり、1000万円の土地の相続登記には、4万円の税金を支払う必要があるということです。登録免許税は相続税とは別の税金なので、遺産の総額が基礎控除の額を超えておらず、相続税の納付義務がないようなケースであっても、登録免許税は支払う必要があります。
4万円というのは高いと感じられるかもしれませんが、売買や贈与など、相続以外の登記原因による所有権移転登記の場合と比較すると、相続の場合のほうが、登録免許税の税率は低いです。売買の場合、土地は1000分の15(平成27年3月31日まで)、建物は1000分の20です。贈与の場合は土地も建物も1000分の20です。つまり、生前贈与をすると、相続の場合よりも登録免許税が多額にかかるということになります。
贈与には、夫婦間贈与の場合の2000万円控除や相続時精算課税制度を利用した場合の控除などがありますが、登録免許税に関してはこのような控除はありませんので、注意が必要です。
相続登記の申請は法務局での登記相談窓口などを利用すれば個人でも申請が可能ですが、難しいと感じる場合は司法書士など専門家に相談してみると良いでしょう。

相続登記とは、亡くなった方の所有していた土地や建物などの不動産の名義を変更することを指します。
日本の法律には、全て自己責任の範疇で、これを義務づけるものはありませんが、実は、これはとても大切な行為なのです。
なぜなら、相続登記を怠ると、様々な問題が起こる可能性があるからです。
まず、土地を売ろうとした時に、その土地の所有者として売却することができません。
これは、最悪の場合、第三者の介入を許して、勝手に売却されることもありうることを意味します。
また、そのままにしておくと、相続人が増えていくという現象がおこります。
例えば、妻と子供が二人が相続人となったケースで、子供が一人亡くなると、その子供達まで相続人となります。
長時間だとどんどん複雑になり、名義変更に全員の同意をもらうのは、とても大変です。
そして、兄妹同士で一度は、遺産分割に合意したけれど、やはり不満が残って撤回するなどと言う時も、自分の名義にしておけば安心ですね。
このように、相続登記は、トラブルを未然に防止する役割もあるのです。
面倒ですし、お金もかかりますが、きちんとしておくと後々のためになるでしょう。
また、登記手続きは司法書士に依頼すると、物件の調査も行ってもらえます。被相続人がどのような不動産を所有していたのかについては、権利書等を確認することで明らかにする必要があります。
しかし、権利書は通常、登記簿謄本や抵当権抹消の登記済み証、建物の表示登記の登記済み証、所有権登記名義人表示変更登記の登記済み証など、各種の書類と一緒に保管されていることが多く、読み解くことが困難な場合があります。
このような場合に、司法書士に書類一式を見てもらえば、書類を見て、所有権移転登記が必要な物件を把握する手助けをしてもらうことができるでしょう。また、固定資産名寄せ帳などの、役所の書類も調査して、より詳しく調べてもらうことが可能です。

不動産の所有者が亡くなったとき、その名義は自動的に相続人に切り替わるわけではありません。名義を相続人に変更するためには、法務局で登記の申請をしなければいけません。

登記の申請には、登記申請書に各種書類を添付して法務局に提出する必要があります。必要な書類が欠けていた場合には、書類の追完が必要となります。必要な書類は手続きごとに不動産登記法に規定されています。たとえば、相続人が妻と子ども二人であった場合に、妻が名義人となる遺産分割協議が整ったとすると、名義人となる妻の住民票、被相続人の出生から死亡までのすべての戸籍と住民票の除票、遺産分割協議書、妻と子ども全員の現在の戸籍と印鑑証明書、固定資産評価証明書などが必要となります。法定相続分どおりの割合で名義を取得するのであれば、遺産分割協議書や印鑑証明書は必要ありません。

そして、これらの書類の他に、「上申書」という書類が必要となることがあります。これは、どのような場合に必要となるのかと言いますと、たとえば被相続人の住所を証明する住民票の除票が市役所で発行されない場合です。

住民票には保存期間があり、引っ越しや死亡などで除票となると、5年間しか保存されません。それ以降は住民票は発行されませんので、住所の証明ができないことになります。こんなときには、戸籍の附票という、別の書類で住所を証明していくことになるのですが、この附票についても保存期間があり、やはり発行されないことがあります。

このような場合、登記名義人と戸籍上の被相続人の住所が異なると、その同一性が証明できないことになります。氏名が同一でも、住所が異なる以上、別人である可能性もあるためです。このようなときに、上申書を添付します。上申書には、「登記簿上の住所から被相続人の死亡時に至る住所の変遷を証明できる資料が存在しないため、物件登記簿上の所有権登記名義人と被相続人の同一性を証明することができませんが、物件登記簿上の所有権登記名義人は、被相続人に間違いありません」というような内容を記載し、相続人全員が実印で押印します。→上申書についての詳細はこちらhttp://www.souzoku-sp.jp/souzoku-touki/joushinsyo.html

また、被相続人の相続関係を証明するためには、被相続人の出生から死亡までの戸籍を添付しますが、この戸籍が添付不能な場合もあります。たとえば、戸籍が戦災で焼失していたり、保存期間経過により廃棄されている場合です。このような場合にも、全相続人から、「登記簿上の所有権登記名義人と戸籍上の被相続人は同一人物に間違いない」という上申書を添付することがあります。
相続登記は、司法書士に依頼せずに自分でやってみようという方も多いですが、このような上申書を添付するような相続登記に関しては、司法書士に依頼して進めた方がよいでしょう。

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